フィンランド&セブ参加者体験談・山辺纏・大学2年生「いい教育ってなんだろう?」 ーフィンランドとセブで広がった私の教育観-

 はじめまして!筑波大学人間学群教育学類3年の山辺纏(やまべまとい)です。GTPには、2025年3月(当時大学1年生)にフィンランド、2026年3月にセブへ参加しました。フィンランドGTPは、私にとって初の海外経験でもありました。

1.GTPへの参加を決めた理由

 先述の通り、フィンランドは私にとって初めての海外でした。大学進学を機に茨城で一人暮らしを始めたこと以外は、それまで生まれ育った大阪以外の場所に住んだこともありませんでした。最初に海外に行きたいと思ったのは高校生の頃で、ALTの先生の影響でカナダ留学に憧れていました。しかしコロナ禍でもあったため、それに伴うさまざまなリスクを負ってまでして行く勇気は私にはありませんでした。

 大学1年生の春休みが近づいた頃、「海外に行くなら今なのでは」と思うようになりました。海外経験ゼロであることへの不安や、せっかく海外へ行くなら何か目的を持って行ってほしいという両親の想いもあり、ただ一人で旅行するのではない方法はないかと考えていました。

 そこでふと、「海外の学校って見に行けるのかな?」と思いつき、「海外 教育 学校視察」などとパソコンの前に張り付いて調べていったところ見つけたのが、このGTPでした。

 最初からフィンランド教育に強い関心があったわけではありませんでしたが、自分なりにフィンランドについて調べていく中で、「なぜフィンランドは幸福度が高いと言われるのだろう」「なぜ教育でこんなに注目されているんだろう」と興味を持ち、実際に自分の目で見て確かめてみたいと感じるようになりました。また、GTPは他のプログラムと違ってコミュニティのあり方をとても大切にしています。それも私にとって魅力的で、最後は直感と勢いで参加を決めました。

 そして、そのフィンランドGTPから1年後になる、大学2年生の春休みにGTPセブへ参加することになりました。GTPにはフィンランドのほかにセブやサンディエゴがあることは何となく知っていましたが、当初は自分が参加することになるとは思ってもいませんでした。

 フィンランドでは学校を俯瞰的に色んな立場から見て考えましたが、セブでは、実際に授業をする教師と言う立場から教育について考えてみたいと思い参加を決めました。また、フィンランドとは全く異なる環境に飛び込んでみたいという気持ちもあり、気づけば参加していました。余談ですが、私はGTPセブの直前まで大学のプログラムで同じくフィリピンのルソン島の北部地域で短期交換留学しており、教育実習生として中学生に英語を教えていました。

2.2つのプログラムを通した教育観の広がりや変化

 教育学を学んでいるというと、よく「先生になりたいの?」と聞かれますが、私はむしろ逆で、先生以外にも自分が納得する教育への関わり方はないか模索しています。筑波大学の教育学類生の進路は多様ですが、みんな何かしら教育に対して自分なりの考えを持っています。そんな環境の中で、私も「いい教育って何だろう?」と、自分の教育観や日本の教育について相対化して考えてみたいと思っていました。

 そんな時にフィンランドの教育を実際に見ることができた経験は、自分にとって大きな意味がありました。渡航前の私はフィンランド教育に対する憧れが強く、「教育先進国」と呼ばれる国の学校を見れば、理想の教育のヒントが見つかるのではないかと考えていました。実際に現地を訪れてみると、子どもたちの主体性を尊重する姿勢や学校全体の雰囲気など、フィンランド教育の良さをたくさん発見しました。

 しかし同時に、教員の質、生徒数、学校設備、社会制度など、一つの教室で行われる授業を構成する条件は数え切れないほどあり、それらは国や地域によって大きく異なることも実感しました。だからこそ、絶対的な「いい教育」という完成形は存在せず、どんな教育にもプラスとマイナスの両面があるのだと気づくことができました。そして大切なのは、マイナスを見ないふりするのではなく、それを少しでも良くしようと向き合い続けることなのではないかと考えるようになりました。

 その考えをさらに広げてくれたのがセブでの経験でした。

 セブでは、教師の力量と学校設備について考えさせられました。教室の時計や黒板、プロジェクター、エアコン、机や椅子、子どもたちの制服など、これまで当たり前だと思って気に留めていなかったさまざまなものが、日本とは大きく異なっていました。頭では知識として知っていたつもりでも、実際に自分が授業をさせてもらう立場になったことで、限られた環境の中でどのように授業を組み立てるかを考え続けることになりました。

 また、日本では「ないと困る」と思っていたものも、工夫次第でなくても授業は成立することを実感しました。フィンランドから帰国した当初の私は、「日本もこうだったらいいな」と他国の良いところを取り入れようとする、いわば足し算の発想で教育を見ていました。しかしセブでの経験を通して、「今の日本の学校で、逆になくても困らないものは何だろう」と考えるようになりました。教育をより良くするためには、何かを増やすだけでなく、本当に必要なものを見極める引き算の発想も必要なのではないかと考えが変わりました。

 さらに、私の中にあった「途上国の教育は貧しい」という偏見も覆されました。確かに設備面だけを見れば、日本の方が恵まれている部分もあると思います。しかし、セブの子どもたちの底抜けの明るさや温かさに触れたことで、心の豊かさは設備や物だけからは測れず、子どもたちのもつエネルギーや人とのつながりの強さをセブの子どもたちから教えてもらいました。

3.GTPを終えてからの取り組み

 先日小学校での教育実習も終え、今は秋からのチェコ留学に向けて準備に奮闘中です。留学後の自分の姿や進路は想像できない部分も多いですが、これからもやりたいことに挑戦し続けたいです。そして、それができるのは、私のことを支えてくれている周りの人のおかげであることも忘れないでいたいです。

4.新しいチャレンジに迷っているあなたへ

 きっとこの文章を読んでくださっている方の中には、新しい挑戦としてGTPへの参加を迷っている方もいると思います。私自身も、当時は学校視察ができる他のプログラムとも迷いましたが、GTPの一番の魅力は“人”だと思います。特にフィンランドは、参加から一年以上経った今でも学び続けるコミュニティがあります。海外へ行くこと自体も大きな決断ですが、帰国後にその経験をどう自分の中で消化し、次につなげていくかがもっと大切だと感じています。また、もし失敗が怖くて踏み出せないのだとしたら、GTPは一緒に失敗してくれる仲間がたくさんいます。そう思うと、参加すること自体は大きな問題ではないのかもしれません。自分の直感を信じて、やりたいことをやってほしいです。

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