セブ参加者体験談・川村遥香・大学2年生「子どもたちが挑戦できる教室とは」― セブ島での授業実践を通して見えたこと ―
はじめまして。福岡県出身で、現在は山梨県にある都留文科大学教養学部国際教育学科に通う大学3年生の川村遥香(かわむらはるか)です。大学では国際バカロレア(IB)教育について学びながら、小学校教員免許の取得に向けて勉強しています。将来は小学校教員として、子どもたち一人ひとりの成長を支えられる存在になることを目指しています。
今回のセブ島の実習では、小学4年生を対象に英語の授業を担当しました。授業実践や子どもたちとの関わりを通して、子どもたちが安心して挑戦できる環境とはどのようなものなのかについて考える貴重な機会となりました。

1.GTPへの参加を決めた理由
私がこのプログラムへの参加を決めた理由は、大きく二つあります。
一つ目は、子どもの自己肯定感について関心を持っていたことです。ある子どもとの関わりの中で、「自分に自信がない」と話す姿に出会ったことをきっかけに、子どもたちが安心して挑戦できる環境とはどのようなものなのかを考えるようになりました。そして、子どもたちが自分らしく学び、自分の可能性を信じられるようになるためには、どのような関わりや環境が必要なのかについて関心を持つようになりました。
二つ目は、以前から海外の学校現場で授業実践をしてみたいという思いがあったことです。私は小学生の頃から高校生まで英会話教室に通っており、その中でフィリピン出身の先生方と関わる機会がありました。先生方との交流を通してフィリピンという国に興味を持ち、「いつか現地を訪れてみたい」と考えるようになりました。
一方で、海外で授業を行うことには大きな不安もありました。英語で授業を進められるのか、自分の考えが子どもたちに伝わるのかなど、不安は尽きませんでした。しかし、この機会を逃してしまったら今後挑戦することはないかもしれないと思い、自分自身の成長のためにも参加を決意しました。

2.実際に参加してみて
現地で授業実践を行う中で、私が特に悩んだのは、「どうすれば子どもたちが授業に興味を持って参加してくれるのか」「どうすれば自分の指示を分かりやすく伝えられるのか」「どうすれば子どもたちが失敗を恐れずに挑戦できる環境をつくることができるのか」ということでした。
海外で授業を行うのは初めての経験でしたので、自分の英語が子どもたちに伝わるのか、子どもたちは授業を楽しんでくれるのか、不安を抱えながら授業づくりを進めていました。
① 1回目の授業実践
1回目の授業では、日本の四季をテーマに、季節に関する音を聞いてどの季節かを考える活動を行いました。子どもたちは聞こえた音から自由に発想を広げ、自分の考えを積極的に発表してくれました。その姿を見て、正解を求めるだけではなく、自分なりの考えを自由に表現できる活動は、子どもたちの興味や参加意欲につながることを実感しました。
一方で、音を聞くだけではなく、制作活動など実際に手を動かす時間があれば、さらに主体的な学びにつながったのではないかという課題も感じました。また、授業中は言葉だけで説明するのではなく、ジェスチャーを使ったり、手をたたいて子どもたちの注目を集めたりしながら、できるだけ分かりやすく指示を伝えることを意識しました。
② 2回目の授業実践
2回目の授業では、ドラえもんの英文教材を使った活動を行いました。しかし、「Why?」という問いに対して答えることが難しく、発言をためらう子どもたちの姿が見られました。その時、私は「子どもたちが答えられないのは、考えていないからではなく、質問の難易度や発言への不安が関係しているのではないか」と考えました。
そこで、質問をYes/Noで答えられるものに変更するなど、その場で難易度を調整しながら授業を進めました。また、「Great!」「Nice try!」といった肯定的な言葉かけを意識し、正解かどうかではなく、発言したことや挑戦したことそのものを認めるようにしました。すると、少しずつ発言する子どもが増え、自分の考えを伝えようとする姿が見られるようになりました。
2回目の授業を振り返る中で、子どもたちが安心して参加できる環境の大切さを感じました。そこで3回目の授業では、その反省を生かし、日本の行事である七夕のストーリーを並び替えるグループ活動を取り入れました。少人数であれば、一人では発言しづらい子どもも意見を伝えやすくなるのではないかと考えたからです。
実際に授業では、子どもたち同士が意見を出し合いながら活動する姿が見られました。また、グループごとに異なる答えが出た際には、すぐに正解を伝えるのではなく、「どこが違うのだろう」と全体で考える時間を設けました。すると、子どもたちは互いの考えを聞きながら答えを導き出そうとしており、多くの子どもが主体的に活動へ参加していました。
③ 3回の授業実践を通して
さらに、授業づくりに悩んだときには、同じ授業グループの仲間たちの存在にも支えられました。授業の改善点やアイデアについて相談すると、みんなが真剣に考え、さまざまな視点からアドバイスをしてくれました。そのおかげで、自分一人では気づくことのできなかった課題や改善方法を見つけることができました。
現地へ行く前の私は、子どもが挑戦できるかどうかは本人の性格や自信の有無が大きく関係していると考えていました。しかし、実際に授業を行う中で、教師の言葉かけや授業の工夫によって子どもたちの反応は大きく変わることに気づきました。子どもたちは「失敗しないから挑戦する」のではなく、「失敗しても受け入れてもらえるという安心感があるから挑戦できる」のだと感じました。
この経験を通して、子どもたちが安心して挑戦できる環境には、肯定的な関わりや適切な問いかけ、そして仲間と協力しながら学べる場が重要であることを学びました。そして、教師の関わり方や授業設計が、子どもたちの挑戦する姿勢に大きな影響を与えることを実感しました。


3.GTPを終えてからの取り組み
セブ島での経験を通して、子どもたちが安心して挑戦できる環境づくりについてさらに学びたいという思いが強くなりました。そのため現在は、大学での学びに加えて、実際の学校現場に足を運び、さまざまな教育実践に触れることを大切にしています。
今年の春には、和歌山県にある国際バカロレア(IB)認定校の小学校を訪問し、子どもたちの主体性を大切にした授業や学校づくりについて学びました。また、私は将来小学校教員を目指していますが、自分の視野を広げるために、今年の夏には北海道にある国際バカロレア認定校の中学校で教育実習を行う予定です。小学校とは異なる発達段階の生徒たちと関わることで、子どもたちの成長や学びについてより多角的に考えたいと思っています。
さらに、まだ具体的な計画はこれからですが、来年の春には別の国の小学校で授業実践に挑戦したいと考えています。セブ島での経験を通して、異なる文化や教育環境の中で学ぶことの価値を実感したからです。前回の経験で得た学びを生かしながら、子どもたちが安心して挑戦できる環境について、さらに探究を深めていきたいと思っています。
これからもさまざまな学校現場に足を運び、自分の目で見て、実際に子どもたちや先生方と関わりながら学び続けていきたいです。そして将来は、子どもたち一人ひとりが「やってみたい」と思ったことに安心して挑戦できる学びの場をつくれる教師になりたいと考えています。

4.次への一歩
今回の経験を通して、私は「挑戦を支える人」でありたいと強く思うようになりました。子どもたちは本来、多くの可能性を持っています。しかし、失敗への不安や周囲の目によって挑戦することを諦めてしまうことがあります。だからこそ私は、子どもたちが安心して挑戦できる環境をつくれる教師になりたいと考えています。
失敗を責めるのではなく、その挑戦を認めること。結果だけではなく、過程にも目を向けること。そして、一人ひとりの声に耳を傾けること。そのような関わりを通して、「やってみよう」と思える子どもを一人でも増やしていきたいです。セブ島での経験を出発点として、これからも学び続け、挑戦し続けることで、子どもたちの可能性を広げられる教師を目指していきたいです。

5.新しいチャレンジに迷っているあなたへ
私はこのプログラムに参加する前、不安でいっぱいでした。海外に行くことも、英語で授業をすることも、自分にできるのだろうかと何度も悩みました。しかし、実際に参加してみると、自分の想像以上に多くの学びや出会いがありました。そして何より、「挑戦してみなければ分からないこと」がたくさんあることを知りました。
もし今、新しいことに挑戦するか迷っている人がいるなら、完璧な準備ができるのを待つ必要はありません。不安があっても大丈夫です。挑戦した先には、きっと今まで見えなかった景色や新しい自分との出会いがあります。私自身もこれからさまざまなことに挑戦しながら、子どもたちの挑戦を支えられる教師を目指していきたいと思います。



