読書好きな大学生を増やしたい! vol.7 ~13歳からのアート思考~
こんにちは。GTPブログ担当工藤(通称:たけ)です。今回は読書企画第7弾です。
今回紹介するのは「13歳からのアート思考」という本です。
一言でこの本を紹介するならば、
間違いなく、読み終わったときに今すぐ美術館にGOしたくなる本
です。
ズブのアート素人が言うのだから間違いありません。
だって美術館行っても、よくわからないじゃないですか。
ピカソの絵なんて意味不明中の不明です(私だけ?)。
それが、これを読むと一気に解消されます。「あ、自由でいいんだ!」って。
今回この本を紹介してくれるのは、GTP運営スタッフの秋岡さんです。美術教育専攻で大学院まで進学している彼女がこの本について詳しく紹介してくれました。
ちなみに私事ですが、私の嫁さんもデザイナーでして、あんまりにもこの本を何度も何度も「読んでみたらー?」と言うので読んでみました。
アーティストとノットアーティストの壁なんて本当はないんだということが、この本を読んでよくわかりました。これでこれからは夫婦仲良く美術館デートできそうです?(ムンクの叫び)
それでは、アートの世界へどうぞ!!!
自己紹介
こんにちは!GTP運営スタッフの秋岡です。
GTPには、大学院1年生の春休み、2018年2月の第3回(3rd Batch)に参加しました。
2017年に東京学芸大学教育学部初等教育教員養成課程美術選修を卒業し、同大学の大学院教育学研究科/美術教育専攻(大学院改革で新しい大学院になり、私の2年下までの代でなくなってしまいました)へ進学しました。
「研究に時間をかけたい」と、1年間の休学を決めて没頭していた大学院1年目。途中でモチベーションが続かなくなり、「頑張れていない自分の弱さ」に悩む日々が続いていた時期がありました。
「そろそろ気分転換に海外行きたいし、美術ばっかりじゃなくて教育っぽいこともしたい。ついでに英語も勉強できたらいいなー。」と思っていたところ、出会ったのがGTPでした。
3rd Batchに参加した後は、4th Batch以降から運営側として関わっています。
(先日公開した「ロゴ制作秘話https://gtp-edu.com/?p=3696」も是非ご覧ください!)
私の想いと、今回紹介したい本
前述の通り、私の専門は美術教育。
美術教育を学んでいくなかで、よく議論に上がる問題があります。
中学生になると急に美術嫌いが増える現象
小学校の図工は好きな子が多いのに、なぜか中学校の美術になった途端に嫌われていく。
同じ延長線にあるはずなのに…。
美術を専門にしてきた私たちは、美術をすることの面白さを知っているけど(だから大学でまで専攻しているわけだけど)、大半の人には「美術は難しい」「センスがないとできない」と思われている。
別に元々センスがあるんじゃないんだよ〜と自分的には感じているけど、美術の専門外の人からは「そうは言っても、専攻できるくらい得意なんじゃん」と思われちゃう。
いや、だから違うんだって!
そんな思いを抱えていた私。
最近、共感の嵐!な本2冊に出会いました。
・「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考/末永幸歩
・センスは知識からはじまる/水野学
今回は、そのうちの1冊 ”「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考” をご紹介します。
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あらすじ
本書は”「あなただけのかえる」の見つけ方”というプロローグから始まり、 著者の末永さんが美術教員として行っている授業のワークをベースに進んでいきます。
今流行の「アート思考」を、6回のワークを通して体感できる構成になっています。
タイトルが気になって購入したのですが、購入後に著者の末永さんが同じ大学院の卒業生(大先輩です)だということを知り、運命的な何かを感じました。笑
なぜ、「13歳から」なのか?
本の導入部分で ”小学生・中学生に聞いた「好きな科目」” という表が出てきます。
(引用)
小学校の「図工」は第3位の人気を誇っているのですが、中学校の「美術」になった途端に人気が急落しているのが見て取れます。
小→中の変化に注目するなら、下落幅は全教科のなかで第1位。「美術」はなんと「最も人気をなくす教科」なのです。
今まで漠然と感じていた問題が一般化された結果に、「ああ、やっぱり…」と少なからずショックを受けました。
でも、なぜ「最も人気をなくしてしまう」のでしょうか。
(引用)
「技術・知識」偏重型の授業スタイルが、中学以降の「美術」に対する苦手意識の元凶ではないか
それは、「技術」と「知識」に重点を置いてきた美術の授業のあり方によって、「個人の創造性を奪っているから」というのが、著者の見解です。
私も、この考えにひどく共感しています。
一方で、私は技術を学ぶことが好きであり、知識も面白く学んできました。
美術を専門としていく上では、とても役に立っています。
ただ、1人でも多くの人を対象にする学び(とくに義務教育)のあり方という面で考えたときには、賛成できません。
ここで重要になってくるのが、本書のテーマである「アート思考」です。
体感的に「アート思考」を学ぶ
言葉で説明されても良くわからなかったことが、体感することで一気に腑に落ちることってありませんか?
本書を読むと、「美術」や「アート」とは「完成された作品そのものだけを指すのではない」ということが体感的に理解できます。
論の中心は、「美術」や「アート」のなかで大部分を占めている本質的な部分は「探究」だということ。
アートを花に例え、「興味のタネ」「探究の根」「表現の花」の3つに分けて位置付けられています。
アート思考とは、この「興味のタネ」から続く「探究の根」の部分
であり、それが「表現の花」になって、美術館に飾られているような作品として形になっている、ということです。
私とアート思考
「美術館に行っても、作品のどこを見ればいいのか分からない」
と、周囲の人たちからよく言われます。
かつては私もそうだったので、この気持ちはよくわかります。
「アート思考」的なものの捉え方をできるようになったのは、大学に入って美術を学んでからのこと。
いやいや、美術が得意だったから大学でその道を選んだんでしょ?って?
それはその通りなのですが…ちょっと違います。
私が得意だった「美術」は、
美しく写しとることでした。
入学試験も、実技はデッサンだけだったので(今は当時と変わっています)
思考はほとんど介在していません。
いかに正確に写し取れるかに注力していたのです。
さて、そんな自分が大学で美術専攻に入ってみると、どうでしょう。
何より苦しかったのは、デザインの授業でした。
最初は、課題をやろうとも思考の仕方が分からなくて、「探究」が深まらず…苦しんで作った割りに、ずいぶん悲惨な作品を生み出し続けていました。笑
そんな私でも、何度も何度も思考の練習を重ねていくうちに「美術」を楽しむことができるようになったんです。(その後、デザインの研究室に所属しました。)
それは、実際に「探究の根」を張る経験を通して、大事なのは
目に見えていない部分だ
ということを体感してきたからです。
アート思考は、いまを生きる私たちに必須の力
アート思考とは、単に「作品を作る過程の思考」ということではないと思っています。
作品を作る過程で生まれる「興味を持つ力」や「課題発見力」、「問題解決力」「情報処理能力」など、他の分野でもよく言われるような力と同じようなものだと思います。
ブログを担当しているたけさんが、この本を読んで「美術って哲学なんだね!」と言っていました。
たけさんは哲学が好きな人なのですが(勝手にそう思っています笑)、美術が専門分野でない人でも、自分の好きな分野と美術が根っこの部分で結びついたんだなと感じて、とても嬉しい気持ちになりました。
最近では美術の分野に限らず、環境デザイン、ライフデザイン…など、よく「デザイン」という言葉が使われます。
何かを最適化させる過程を「デザイン」という言葉で表しているのだと思います。
つまり、
「美術」や「アート」は一部の人にしか分からない特別なものではなく、私たちの身近にたくさん落ちているもの
なのです。
それを体感させてくれるのが、この ”「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考” です。
おわりに
中学以降、美術がつまらなくなった。というあなた。
もう1度、この本で学び直してみてください。
美術は思っているより面白いです。
美術が好き!というあなた。
この本を読むことで、美術の面白さがより深まると思います。
年齢や活動分野に関わらず、これからの時代に必要な力が身に付く入門書だと思います。
本書を通して、美術の魅力が1人でも多くの人へ届きますように!
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いかがだったでしょうか?
これからこの本を読んでみたくなった方に1つ情報をシェアしておきます。
p142,143にカンディンスキーという人が描いた絵があります。
私の4歳になる息子に
「この絵さ、何に見える??」
と聞いたところ、
「あのねー、ここがねー、車がビューンとしていて、ここがコースで、こう行って、あー行って…。」
とすぐさま答えるのです。
「じゃあ、これは何?」
と私が聞くと
「これがお魚さんで、これが…」
と語り始めました。
この本を読み進めて、このページあたりに来たときに、このエピソードを思い出していただけると、より面白さが際立つのではないかと思いシェアさせていただきました。
大人の固すぎる頭なんてアートにはいりません。
息子って天才!と思った瞬間でした(笑)。
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