読書好きな大学生を増やしたい! vol.9 ~アルジャーノンに花束を~

こんにちは。GTPブログ担当あやかです。今回は読書企画第9弾です。

突然ですが、

あなたは”天才”になりたいですか?

 

あなたの周りにも、「天才」と呼ばれる知り合いや友だちが、少なくとも1人はいるのではないでしょうか?

ある物事に関して特別に詳しかったり、記憶力が人一倍優れていたり、計算スピードが驚くほど速かったり。。。

コツコツ型で平凡タイプの私としては、とても羨ましく思ってしまいます。私もそんな風に、何か秀でた能力が欲しいものです。

では、

世の中に、誰でも”天才になれる”手術や薬があったとします。

あなたはその手術を受けますか?その薬を飲みますか??

 

そして、

その行動が、自分にとっての幸せにつながると思いますか??

 

今回紹介するのは「アルジャーノンに花束を」という本です。この本の主人公は「天才になれる手術」を受けました。果たして彼は幸せになれたのでしょうか?

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本当の幸せって何??

主人公は知的障害をもつ32歳の青年、チャーリー・ゴードン。彼は幼いころから「お利口になりたい」と強く願っていました。ある時、ある博士の実験で「お利口になれる手術」を受けることになりました。

手術を受けていわゆる「天才」になったチャーリーは、知的発達が進み周囲のことがはっきり見えるようになります。

チャーリーは今まで「いつも自分のことをいじってくれる友だちは、ぼくのことが大好きなんだ!」と思っていたが、実はただ悪口を言いからかっているだけだった。博士たちが手術をしてくれたのは、チャーリーのためを思ってではなく、自分たちの名誉と金儲けのためであった。

このような事実を痛いくらい感じるようになったチャーリーは、だんだんと周りの人への態度が変わっていってしまいます。

天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して人の心の真実を知っていく様子が描かれています。

この本を開いて第一に「おもしろい!」と感じるのは、この本がチャーリーの日記形式になっているという点です。

けえかほおこく1-3がつ3日

ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれからぼくのまわりでおこたことわぜんぶかいておきなさいといった。

(出典「アルジャーノンに花束を」著:ダニエル・キイス 訳:小尾芙佐 ハヤカワ文庫)

こんな風に平仮名たくさん、誤字たくさんの文章から始まります。頭を良くする手術を受けて、チャーリーの日記がだんだんと難しい言葉を含んだ文章に変化していきます。

チャーリーの立場や気持ちになって読むことが出来るため、よりたくさんのことを考えさせられます。

チャーリーの想い、お母さんの願い

チャーリーは子どものころからからずっとお母さんに認められたくて、頭が良くなりたかった。母親はチャーリーに周りの友だちのように“ふつう”になってほしい、なれるはずだ、と強く願っていた。

でも、

頭が良いことが幸せ?

人より秀でた能力を持っていることが幸せ?

みんなが出来ることを自分は出来ない。それって不幸なの??

生きていく中で、学力が求められる場面は数多くあります。しかし、知能が高いから幸せだとは限りません。

わかってはいるけれど、、、それでも学歴社会に飲み込まれてしまう、できない自分はダメだと思いこんでしまう、そんな人も多いかもしれません。この本を読みながら、自分や周りの人、教育関係者であれば子どもたちのことも、チャーリーと一緒にもう一度見つめ直してみて下さい。

また、この本ではAIや日々発展していく科学技術との向き合い方についても考えさせられます。

”人を幸せに導く”科学技術とは?

どんなことでも出来る能力を身に付けることができたら、それで幸せになれる?

科学で出来ることは次々とひたすら達成していってそれで幸せ?

このお話はフィクションですが、AIが発達してきている今「科学で頭を良くする」「AIが人間の能力を超える」ということが可能になる日が来るかもしれません。

科学を人間の生活により多く用いていくことが本当に幸せなことなのか、人を“本当の意味で“豊かにするための科学とはどういうものなのか、、、。日々発達していく科学技術と私たちはどう向き合うべきか、この本を読むと考えさせられます。

幸せって何なのでしょう。何度考えてもなかなか答えの出ない問です。人それぞれ違うからこそ、難しいけれどおもしろいのかもしれません。

あなたは「何のために」今、そのことをしていますか?

高校生時代、ある先生にこんなことを問われました。

みんなは何のために、一生のうちに勉強したりお金を稼ぐのか考えたことはある?

中学生の時は良い高校に入るために必死に勉強する。

高校生の時は良い大学に入るために必死に勉強する。

大学生の時は良い仕事に就くために必死に就活する。

そして就職したら今度は老後のために働いたお金を貯金する。

そしたら老後は?立派なお墓を残すために貯金する。

つまりみんなは立派なお墓を作るために、今学んでいるの?そうではないよね?

自分の人生を豊かに幸せに生きるためではないの?

私は先生からのこの問いが心に刺さり、今でも印象に残っています。

学校で学んだり、お金を稼いだり、日常生活の中で新しく開発された製品に次々と手を伸ばしたり。でも、それってもともと何のため?

今の世の中で当たり前になりつつあることが、私たちが本当に求めていた生活・理想の姿なのか考えたことはありますか?

この本でいうと「頭を良くすること」や「科学を用いること」がゴールなのではない。その先にある目的“何のために”を再確認することが必要なのだと思います。本当に大切にしなければいけないことを、私たちは今一度振り返らなければなりません。

「アルジャーノンに花束を」を読むことで、“本当の幸せとは何か“を改めて考えるきっかけになればと思います。

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