GTPセブ参加者体験談 木ノ内遥也 大学1年生〜高校生が海外で先生になった話〜

 立教大学経済学部経済学科1年の木ノ内遥也です。

 現在は大学生ですが、参加した当時は、高校生2年生が終わった春でした。

1、GTPへの参加を決めた理由

 私は、自己紹介にもあるように、現在は経済学部に進学しており、教育学部生ではありません

 GTPの参加者は、将来「教師になりたい」「教育に興味がある」という志を持った方がほとんどです。実際、現地で出会ったメンバーも、教育への熱い想いを持った学生たちが多くいました。ですが、当時の私はそうではありませんでした。

 では、なぜ将来教員になるわけでもない私が、高校2年生の春休みという貴重な時間を使ってGTPに参加したのか。

 理由はシンプルです。直感的に「これだ!」と思ったからです。もともと海外志向があり、「海外に行きたい」とは考えていましたが、大学受験の総合型選抜を見据えて何か特別な活動がしたいと考えていた時期でもありました。そんな時に、ご縁があってGTPのスタッフの方からこのプログラムを紹介していただきました。

 「セブ島の小学校で、自分の授業をする」

 その話を聞いた瞬間、「こんなにおもしろい経験、他には絶対にないだろう」と心が震えたのを覚えています。この、ワクワクする気持ちが参加への一番の原動力になりました。

2、実際に参加してみて

 参加した7日間は、毎日が刺激的で、周りの人々に支えられた日々だったと思います。

 私が担当したのは、小学校の最高学年である6th Grade(6年生)。教科はMAPEHの中でも「音楽(Music)」を中心に担当することになりました。6年生ともなると、身体も大きく、少し大人びた雰囲気があります。「低学年のように無邪気に楽しんでくれるかな?」という不安も少しありましたが、日本では決して味わうことができない盛り上がりを体感することができました。

 全3回あった授業のうち、最初の授業は日本で準備をし、テーマも自由に選ぶことができました。私は、高校のフィリピン人の先生に相談しながら、k-pop・歌・ダンスを授業に取り入れることを決めました。それは、子供たちに、とにかく楽しんでもらいたかったからです。

 1回目の授業では、BTSのdynamiteを歌って、踊るという授業を行いました。BTSはフィリピンでも人気ということもあり、教室は大いに盛り上がりました。もともと、人前で話すことには慣れていたので、1日目から存分にたのしむことができました。また、フィリピンの踊りはないのかと思い、思い切って生徒に質問してみたところ、フィリピンの伝統的な踊りを教えてもらいました。

 実は2回目の授業では、音楽以外の教科を行う予定でした。しかし、1回目の『Dynamite』の盛り上がりを見た現地の担任の先生から「自由にやってくれ」と言われ、急遽BTSのbutterを歌うことにしました。これも、初日同様、ライブのように盛り上がりました。

 そして、迎えた最終授業。題材に選んだのは、藤井風の「死ぬのがいいわ」です。これは、生徒たちからのリクエストです。私は、まさか生徒たちから藤井風というワードが出てくると思わず、動揺しました。

 また、日本で実際に私が小中学校で行なってきたリズム遊びやマルバツゲームなども行いましたが、それも大盛況でした。

 3回の授業を通して私が何より感じたのは、子どもたちの圧倒的な「温かさ」でした。

 みんなと一緒に歌って踊っていると、いつの間にか教える立場であることを忘れ、まるで私自身もクラスメイトの一人になったかのように夢中で楽しんでいました。このように、生徒の輪に馴染めたのも、子どもたちが国籍も年齢も関係なしに、私を自然体で受け入れてくれたからです。そして、なにより、彼らが温かく迎えてくれたからだと思います。

 そして、授業が終われば校庭へ飛び出し、みんなで汗だくになってバスケットボールを追いかけました。同じボールを追いかけ、ハイタッチを交わす中で、私たちの間にあった「先生と生徒」という境界線は自然と消えていきました

3、GTPを終えてからの取り組み

 参加後は、このフィリピンでのあたたかさを忘れることができず、現在大学でアジア寺子屋というサークルに参加し、フィリピンでホームステイやボランティアをするという活動をしています。私は、GTPで、プログラムで関わった人たちに様々な場面で支えられました。大学ではこの経験を活かし、GTPの様に、メンバー間でのコミュニケーションを大事にして、お互いに支え合いながらサークル活動をしています。

4、次への一歩

 今後もこのサークルで活動しながらフィリピンを定期的に訪れたいと思います。これも、GTPを経て、フィリピンのあたたかさを体感したからです。GTPとは違う場所ですが、今後もチャレンジし続ける人でありたいと考えています。そして、周りの人を巻き込みながら、それを共有できるようになりたいと思います。

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